開業していると雇用保険の失業等給付がもらえないって聞いたけど本当?
結論としては、
「開業」していると "原則" 失業等給付はもらえません。
しかし、
開業していても、失業等給付をもらえる"例外" があります
この度、私は開業している状態でしたが、雇用保険の失業給付を受け取るための手続きを行いました。
そして、「雇用保険受給資格」を得ました。
つまり、開業していても失業給付がもらえる例外(条件)があります。
・雇用保険の給付はどのような人が対象なのか
・開業している状態で「雇用保険受給資格」を得るための条件とは
以上について、自分の経験を踏まえて、説明します。
のんびりんの紹介
2020年4月〜看護師11年目
2020年1月→プログラミング学習開始
2020年10月→看護師しながら、副業のWEB制作で開業
2021年3月→本業である看護師を退職
2021年4月→雇用保険受給資格を取得
目次
1.開業していると失業保険がもらえないと言われる理由
「開業」していると "原則" 失業等給付はもらえないのはなぜか?
そもそも、雇用保険の給付は、
「失業中の生活を心配せずに仕事探しに専念し、1日も早く再就職していただくために "求職者給付" を支給する制度」
だからです。
"求職者給付" を受給できるのは、失業の状態にある方のみです。
(※求職者給付については、最後の番外編でお話します。)
言い換えると、雇用保険は、
仕事がなくなった人が、次の仕事を見つけるまでの間に、失業等給付を支給してくれる制度です。
ここでのキーワードは
■ 仕事がなくなった人
■ 次の仕事を見つけるまで
です。
つまり、
- 仕事がなくなった人 = 仕事がない状態
- 次の仕事を見つけるまで = 仕事を探す予定(再就職する予定)
に当てはまる場合、「雇用保険の給付」を受け取ることができるのです。
「開業」しているということは、通常、事業を営んでおり「仕事がある」状態であり、新しい「仕事を探す予定」はないですよね?
だから、「雇用保険の失業等給付」を受け取る条件に当てはまらないことになります。
参考として、私の管轄であるハローワークで受け取った資料画像を添付します。
下記のいずれかの状態に当てはまる方は、原則として求職者給付を受け取ることができません。
という項目の中に、
「7.自営業(準備を含みます)をしている ※収入の有無を問いません。」とあります。
また、厚生労働省からも「離職されたみなさまへ」としてpdf資料がありましたので、リンクを添付します。
参考サイト:離職されたみなさまへ - 厚生労働省
(※求職者給付については、最後の番外編でお話します。)
このように、原則は開業していると失業等給付を受給する対象者ではありませんので、
ハローワークに問い合わせたときに、「今現在、開業している」ということを伝えただけでは「失業等給付は受けられません」と返答されて終わってしまう場合があります。
失業等給付を受けるにあたっては、ウソを申告してしまうと罰則があります。
ハローワークで手続きを進めるにあたっては、きちんと正しく現状を伝える必要があります。
今回、自分自身の状況をハローワークで正しく伝えた上で、開業していても「例外」として受給資格を得られる場合があると知りました。
そして、私自身、昨年〜「開業」しており「自営業を営んでいる」状態でしたが、この度「雇用保険受給資格」を得ました。
次の章で、開業していても失業給付がもらえる条件(例外)をご紹介します。
2.開業していても失業等給付がもらえる条件(例外)
開業していても失業等給付を受けられるかどうかは下記の条件に当てはまる必要があります。
条件
事業に関連する仕事を行っている実質労働時間が
・1週間20時間未満
・1日4時間未満 であるか
また、事業以外の仕事を行うことができる時間が
・1週間20時間以上 確保できるかどうか
「開業している」状態で「雇用保険受給資格」を得るためには、実質、事業が稼働していない状態の場合に限るということになります。
ちなみに、事業に関する実質労働時間については、個人で事業を行っている場合はタイムカードなどありませんので、自己申告となります。
そのため、いつ何時間働いたかを毎日きちんと記録に残す必要があります。
仮に1日4時間を超えて労働した場合、その1日分はカウントされない扱いになるようです。
(雇用保険の受給を受けるまでには、給付制限という期間が設けられています。カウント扱いされない日があると、その分だけ支給を受けられるようになる日にちが後ろ倒しにるようです。)
また、「雇用保険受給資格」を得ても全額もらえるとは限りません。
事業収入がある場合、事業収入を事業で働いた日数で割って日割計算を行い、
もらえる予定の基本手当の日額から事業収入の日額を引いた差額分が支給されるようです。
事業収入に関しても、個人で事業を行っている場合は、給与明細などありませんので、
どの会社にいくらもらったか、「明細書」となるものを用意するように言われました。
WEB制作の場合は、「請求書」や「入金」が確認できるものを用意しなければならないようです。
(もし、外注している場合には、外注していることが証明できるように、同じく「領収書」や「出金」が確認できるものを用意する必要があるようです。)
開業していても、失業等給付金をもらうためには
まとめ
・例外にあたる「条件」を満たしている必要がある。
・事業収益と事業に関する労働時間を細かく記録に残し、指定された日(失業認定日)に提示しないといけない。
・事業収入を日割計算した日額が基本手当の日額より少ない場合に、その差額を受け取れる。(つまり、事業の収入が少ない場合に限る)。
簡単に言うと、既に事業としてバリバリに稼いでいたら、
・仕事がある・収入がある
という状況になり、失業等給付金はもらえないでしょう。
以上、条件をみて、どのように感じたでしょうか?
正直なところ、かなり面倒臭いです!!!
・条件を満たさなければならない
・1日に何時間働いたかを申告しないといけない
・収益がある場合、証拠となるものを提示しないといけない
などなど…
条件を満たしつつ、合わせて様々な申告を行わなくてはなりません。
さらには、ハローワークまでの往復の時間、ハローワークでの待ち時間、手続きの時間、また条件を満たすための記録などの準備の時間などを考えると、かなりの手間暇がかかります。
その分の時間を事業活動としてバリバリ働いて稼ぐようにするのか、
ハローワークに行って手続きを試みてみるのか、
どちらを選択するかはあなた次第です!
私は運よく再就職先がすぐに見つかり、「再就職手当金」を受給できることになったので、結果的にはハローワークで手続きを行い「雇用保険受給資格」を得ておいて良かったです。
【再就職手当金約50万円】
— のんびりん@元看護師×WEB制作&エンジニア×∞🐥☘️ (@nonbrin) May 18, 2021
✅ハローワークにかかった時間(移動時間含む)約5時間
今後、あと2回行かなきゃです😇
残り5時間かかるとしても、時給換算で5万/時間☘️
結果的に、手続きして良かったハローワーク😌
開業中の失業給付について情報提供してくれたわがいさん@igawayoshihisa に感謝🙏✨
何か疑問があれば、わかる範囲でお答えしますので、お気軽にTwitterにDMください!
番外編
(1) 求職者給付とは?雇用保険の様々な給付について
「求職者給付」とは「失業等給付」の4種類ある給付のうちの1つです。
「失業等給付」には、様々な種類があって、大きくは4種類の給付が存在しています。
「求職者給付」「就職促進給付」「教育訓練給付」「雇用継続給付」です。
検索すると参考資料がありましたのでURLを添付します。https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/var/rev0/0119/0671/13syou.pdf
また、参考資料の中の画像を添付いたします。
このように「失業等給付」の中には、実は様々な手当や給付金が存在しています。
今回、私の場合は、「基本手当」「再就職手当」この辺りの手当が受けられるといいなーと思いながらハローワークに通っていました。
結果としては、私は「再就職手当」のみを受給することとなりました。
もし、転職がすぐ決まらなかった場合には、おそらく私は事業収入が少ない場合に「基本手当」を受給していたと思います。
あともしかすると、プログラミングを学べる講座が開催しているようだったので、(無料だったか、手当が支給されるのかは忘れました…)雇用保険で受けられるサービスを検討していたかもしれません。
(2) 再就職手当について
開業している場合、再就職手当がもらえる条件が通常と異なる点があります。
「再就職手当」は、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上ある場合に支給されます。
(実際には、それ以外の条件も含めて8つの基準を満たしている必要があります。)
開業していない場合
・新たに事業を開始する場合、再就職手当の対象となるそうです。
開業している場合
・現在開業している事業のみに専念する場合は、「雇用保険受給資格」を辞退する流れとなるそうです。
(2) 結局、開業ってした方が良いの?いつしたら良いの?
開業については、メリットとデメリットを把握した上で、自分は何を求めているのか?で判断する必要があります。
私の場合は、事業関連でかなり多くの教材やPCなどの周辺機器を購入していたので、経費として扱いたかった。本業と合算して損益通産したかったなど理由から、昨年開業届を出しました。
あとは開業することで、青色申告を経験して、税金についての知識を深めたかったという理由が大きいです。
その人にの状況によって、開業した方が良いかどうかの判断は大きく変わってくると思います。
「再就職手当」についても、新規で開業する場合は手当の対象となるなど、開業するタイミングによって受けられるメリットやデメリットが変わってきます。
開業の方法
ちなみに、開業は「開業届」という紙を一枚税務署に提出するだけです。
「開業届」はfreeで無料で簡単に作成できます。
方法については、ブログ「はじめての開業届提出!〜提出書類作成から郵便に出すまで1時間でできちゃいます〜」にまとめていますのでご参照ください。
もし「開業」「確定申告」「雇用保険」などでお困りのときは、TwitterでDMください!
私のわかる範囲であれば、いつでもお答えいたします!
のんびりんTwitter:https://twitter.com/nonbrin